俺のシンデレラになってくれ!

隣から聞こえた声があまりにも大きくて、あたしは思わず肩を震わせた。


それは晴香も同じだったみたいで、目の前には、目を大きく開いた晴香が見える。


晴香の視線をたどると、そこには立ったままの茶髪の人がいて……


向かい側にいたその人の友達らしき黒髪の人も、席に着いたまま目を見開いていた。



「篤、いきなりうるさいんだけど。どうした?」


「いや、昨日の人なんだよ!」


「は?」



座ってる全員がぽかんとする中で、篤と呼ばれたその人だけが興奮してるように見える。



「昨日、クーポンくれた人だよね? 3つ先の駅前で!」



がたっと席に座りながら元気よくそう言われて、あたしは昨日の記憶をひっぱりだした。


確かに昨日はクーポンを配ってたけど、こんな人……――――



「3枚くれたじゃん! クーポン」



ぱっちりとした綺麗な目が、きらきらしてるように見える。


ふわふわした茶色い髪と、フードのついたパーカーは、そんな彼にぴったりだ。



「あぁ、昨日の変な人?」


「変っ!?」



顔までは覚えてないけど、昨日クーポンを3枚もらってくれた変な人に救われたのは事実だ。


ショックを隠せない、みたいな表情でかくかく震える彼を見て、テーブルに座る全員が笑い出した。



「篤が変人なのは間違いないな。今の話も気になるし、よかったらこのまま一緒に話しません?この時間までいるってことは、3限空きなんですよね?」