俺のシンデレラになってくれ!

「ありがと。タダでお茶がもらえるってラッキーだよね」


「……そのおばさんみたいな発言やめてよね」


「それ、全国のおばさんに失礼だから!」



トレーを持って帰ってきた晴香と小さく笑い合ってから、あたしは机に置いたままになっていたお弁当箱の包みをほどいた。



おばあちゃん、すごすぎ。


バイトが朝晩の時は無理だけど、今日みたいに1限のある日は、おばあちゃんがお弁当を作ってくれる。


朝ごはんを作るついでだから……なんて言ってるけど、朝ごはんには出てきてないおかずとか、プチトマトが入ってる辺りがくすぐったい。



「あ、そういえば、5限の課題ってやった?」


「やったよ。まさか、やってない?」


「うん。4限の間にやるから参考にさせて?」



にっこりとそう言った晴香をちらっと見てから、あたしは溜息を落とした。



「参考ねぇ。昨日は忙しかったの?」


「あぁ、急にサークルの飲みに誘われちゃって。付き合いもあるしって2次会まで行ったら、疲れて寝ちゃったんだよねぇ」


「なるほど」



軽くうなずきながら、半分に切った卵焼きをつまむ。


ちょうど隣の先客が席を立って、入れ替わりに別の人達が近づいてきた。


荷物が邪魔になってないか……なんて無駄に心配になって、少しだけその人達に視線を移す。


さっき座ってた子たちより、雰囲気も髪型も落ち着いた男の人が2人、すっと席についた。


一瞬、1つ席を空けてとなりに座ろうとしてる茶髪の人と目があった気がしたけど、そのまま意識をお弁当箱に戻す。



「晴香、そういえばさ……」


「あぁっ!」