「てかさ、あんたはお城に行かなくていいわけ?」


「この格好で、ですか?」


「いや、それじゃあ無理だけどさ。悔しくないの?」


「悔しい……ですか。そうですね。確かに、お姉さま達のドレスを選んで、髪を整えた後に自分の姿を見た時は悲しくなりましたけど」


「は? あんた、あんな性格悪い人達の着替えまで手伝ったの?」


「手伝った……というよりも、ドレスを決めたのも、髪型を考えて整えたのも私です」


「それってパシリ? うわー、意味わかんない!腹立たないわけ?」


「腹は立ちませんね。私の想像通りに仕上がって、喜んでいただけると、嬉しいですし」


「信じらんない!お人よし!むしろバカ!
あー、あたしだったら絶対、わざと変なドレス選ぶって!」


「そんなことをしたら、お姉さまが可哀想でしょ?」


「だから、わざとそうするの! 
いじわるされてる仕返し!」


「仕返しなんてダメですよ。ここでお姉さま達が満足するように家事をして、着替えを手伝って、それで喜んでいただくのが、私の世界なんです。
それがわかってるから、私はこの世界を楽しめるんです」


「……バカみたい。そんなのただの言い訳でしょ?そーゆーのが一番イライラするの! わかった?」


「いやー……」


「わかんなくても、さっさと行くよ!」