「篤は感覚派だからねー」
そう言って肩を揺らしながら、雅也がまた口を開いた。
「それ選んでる時の篤、すっごいきらきらしてたよ。
美砂ちゃんのことで頭がいっぱいだったんだと思う。周りの女の人がすごい形相で俺達のことを見てたんだけど、全然視界に入ってないみたいでさ。それ一応、2時間分くらいだから」
「おい!値段バレるだろ!?」
「別にいいでしょ。その方が美砂ちゃんも割り切りやすいって。それに、今の篤に高いもの貰ったって嬉しくないでしょ」
相変わらず雅也は楽しそうで、篤は盛大な溜息を吐いていて、晴香はそんな様子を静かに眺めている。
割り切りやすくはなったけど、どうすればいいのかわからなくて途方に暮れる感覚は変わらない。
ゆっくりと息を吐き出してから、あたしは、貰ったネックレスを袋に戻して立ち上がった。
5
「しーのはらー。これ、お前のか?」
「はい? 何ですか、これ?」


