「でもじゃない。今のは、美砂が無神経すぎ。相手が篤じゃなかったら、相当怒られてたんじゃない?」
何かあると篤の肩を持つ2人に、反論なんてできるはずがない。
やっぱり怒ってるんだろうか?
不安になって視線だけ篤に送ると、篤が大きな溜息を吐いた。
「やっぱり、怒ってる……? ごめん、一応」
「いや、雅也と晴香ちゃんが代わりにいろいろ言ってくれたから何か面白くなってさ。それに、謝り方が美砂らしくて笑える」
「……それは、ありがと」
「いや、他の人の前ではそういう謝り方はやめた方がいいと思うけどね。公務員目指してるなら尚更じゃない?」
つい最近、同じセリフを聞いたような気がして、思わず記憶を探った。
それがいつなのかは思い出せそうにないけど、そうやって自分の目標を時々ちゃんと思い出させてくれる人がいることは、何となく有り難いとも思う。
口に出したら目標が軽くなっちゃいそうだとか、怖いだとかって考えてたあたしは、もういない。
「それ、少し嫌味にも聞こえるけど」
「美砂の失礼に対する仕返しかなー。ま、とりあえずこれ」
「何これ?」


