俺のシンデレラになってくれ!


本物の力。


何気ないように聞こえた雅也の言葉が、ずしっと響いたような気がして肺の辺りが苦しくなった。



篤から聞いた、舞踏会に行くための努力をしたシンデレラ。


だけどそのシンデレラの努力は、舞踏会に行くところまでで終わってる。


お城に入れることが決まった瞬間から、シンデレラは、その努力を勝手にスリープモードにしたんだ。



でも、どれだけ頑張ったって、努力したって、手に入れたものが12時で溶けちゃう魔法なら意味がない。


ずっと自分の手元に置いておける、きちんとした結果を手に入れられないと意味がない。


これって、お金とか権力とかを持ってない人間は、ずっと気を抜かないで努力し続けなきゃいけないってことなんだろうか。


それだったら、少し辛すぎる。


別にお金持ちになりたいとか、お姫様になりたいとか、突拍子もないことを考えてるわけじゃないけど、スタートが遅れてるあたしから見たら、もしかしたら、ちゃんとした仕事に就きたいっていう当たり前のことさえ、12時で消えちゃう魔法にしかなってくれないんだろうか……。



思わず落ちた溜息に気付いて、あたしは思わず、唇を噛んだ。



「変わってきたなー。シンデレラ」