俺のシンデレラになってくれ!


呆れたような顔をした晴香を見て、あたしは小さく息を吐いた。



「選んでるものとか、組み合わせ自体はいいと思うんだけどね。何だろ……変な先入観でもあるのかな?」


「先入観ってどういうこと?」



そう聞くと、雅也がにっこりと笑ってから言葉を続けた。



「そうだな……。美砂が普段の服を選ぶ時にポイントだと思ってることって何?」


「うーん。動きやすそうとか、汚れが目立たなさそうとか、長く着れそうとか?」


「どこの母親よ、それ。
一般的な大学生には、私服で動き回ったり、汚れるようなことしたりする機会なんて、なかなかないと思うんだけど」


「でも、やっぱりその方が良くない? 実用的な感じで」



不満気に反応したあたしを見て、篤が「あぁ」と、小さく呟いた。



「実用的ね。正しくシンデレラだな」


「は?」


「ほら、シンデレラも最初は、綺麗な服は着てないだろ?
それって、家事をするためにはその方が実用的だと思ったからだったんだよ。きっと」



それは、ただ単にいじめられてたからじゃないんだろうか?


心の中で突っ込みを入れながら、まだまだ何か言いたそうな篤を待つ。



「汚れても、破れても平気だし、その方が長く着れるし、くたくたしてそうだからきっと動きやすい!」