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「で、これ?」
「で、これなんだ」
「俺のリクエスト、“可愛い”だったんだけどな……」
「それを美砂に求めたのは、篤のミスね」
言いたい放題の3人を思いっきり睨み付けてから、あたしは近くにあったイスに座った。
駅の中にあるカフェは、何日か前に篤から結の日程表を見せてもらった時に来た所だ。
「俺のミスかー。だって何か、黒いよね」
「何で少しでも明るい色を取り入れようと思わないんだか……。普段よりも色味がないんだけど」
買い物をするように放り出されたあたしは、あれから必死で4000円以内で買える服を探した。
だけど、クリスマスとも年末とも切り離された中途半端な時期じゃ、そんなに簡単に安い服なんて見つからない。
だいたい、駅の中にあるお店に安い服が売ってるようなお店ってあんまりない気がするんだよね。
黒い短めの台形スカートに、黒いタイツ。
足元はいつもの黒いスニーカー。
それに合うように、セーターもカジュアルなものを選んで……黒くなって。
袖の短いセーターに合うように、落ち着いた深い赤のインナーを買った。
「どこで買ったの?その服?」


