俺のシンデレラになってくれ!


まだ鞄に荷物も仕舞い終わってないあたしの隣で、晴香がすっと立ち上がった。



「次の授業、グループワークの準備するのあたし達でしょ?急ぐよ、美砂」


「え?あぁ、そうだっけ?ちゃんと聞いてなかったかも」


「本当に省エネなんだー!何か新鮮。一緒に授業受けられて良かったよ。ありがとう」


「どういたしまして。行くよ!美砂」



妙に急ぐ晴香に急かされて、あたしは慌てて立ち上がった。


巻く時間も許されてないみたいだから、マフラーは適当に掴んで終わりだ。



「晴香ちゃんと、美砂ちゃんも。次も頑張ってね」


「ありがとう。じゃあね」



軽く答えた晴香に続いて少しだけ頭を下げてから、先に歩き始めていた晴香の背中を追った。


相変わらずにこにこしてる高山さんは、晴香とは違う意味で、何を考えてるのかわからない。


いきなりあたし達の名前を気軽に呼べちゃうくらい、フレンドリーな子なんだとは思ったけど。


あたしにはないそんな要素が羨ましいかと聞かれると、それは疑問だ。



「美砂、気をつけなよ」


「え?あ、準備忘れてたこと?
でも、あのグループのメンバーなら大丈夫じゃない?何を持ってけばいいの?」


「そうじゃなくて。そもそも、準備があるって嘘だから。教室から出る口実作っただけ」