思いっきり失礼なことを言ったあたしに顔をしかめることもなく、同級生の子が口を開いた。



「高山由紀です。この間はジャージだったから、気づきにくかったのかも」


「黒川晴香です。それで、こっちの失礼なのが篠原美砂」



失礼なのって……。わざわざそんな台詞を用意する必要はないと思う。


溜息を吐くあたしなんてお構いなしに、高山さんとにこにこした晴香の間で話が進んだ。



「この授業、ずっと取ってたの?」


「うん。人数多いからいつも大変だよね。1人だから何とか滑り込めるんだけど」


「なるほどね。あたし達も席がない時はバラバラで座るし。
でも、これって教育でも国語の授業でしょ?高山さん、篤たちと一緒で経済学部じゃなかった?」


「うん。学部は経済」



にっこりと微笑んでから、高山さんは話を続けた。



「シラバスに、現代の物語を読み解く授業だってあったでしょ?それで受けることにしたの。
単純に“物語”って好きだし、結にも何か活かせたら……って思って」


「サークルに、この授業を?」