誰もいない部屋に帰るのは久しぶりだな、なんて思いながら玄関のカギを開けようとして頭の中にハテナが浮かんだ。
あれ?今日雛のやつ泊まるって言ってなかったか?
「ただいまぁ~って何だ、これは!」
玄関のドアを開けると同時にちょっといい匂いがしたので不思議に思いながらリビングに入ると、明りは付けっぱなしで、テーブルの上で伏せて寝ている雛が目に入った。
明りがついているなんて全く確認せずに来たので正直かなり驚いたが、そんなことよりもテーブルの上に広げられているものに更に驚く。
一体何個作ったんだか..皿の上には大量のコロッケが山盛りになって置いてある。
「おい、雛、起きろ」
優しく揺すってやっても雛が起きる気配はない。
全く..
「雛」
もう一度名前を呼んでやると、
「美味しい、でしょ...」


