ほら、智恵美。
わたしは今こんなに稜君のことが好きなんだよ。
稜君にドキドキしてるんだよ。
だから航ちゃんの事なんか何とも思ってないよ。
いつか、溢れてくることなんかない。
航ちゃんは、千鶴さんと結婚するんだもん。
「もしも、今更航ちゃんが好きなんだとしても。それは遅すぎるよ」
ピピピ〜
携帯の音で目が覚めた。
少し寝てたみたいだ。体を起こして携帯をさがす。
だけど寝起きだからか体が重くてなかなかいうことをきいてくれない。
「どうしたんだろ?」
なんとなくおでこに手をあてると少し熱い気がする。
携帯はすぐ鳴り止んだので先に体温を測ることにした。
なんとか体温計をとりはかると、38.5分。
なるほど、どうりで体が重いわけだ。
鳴り止んだ携帯が再び鳴る。
今度こそ、と手を伸ばす。バッグの中で鳴っていた携帯を取り出すと、着信は10件くらい入っていた。
しかも、全部航ちゃん。
「もしもし?」
「雛、お前!今どこにいるんだ!?」


