「何泣いてんだよ」

歪んだ視界からかすかに稜君が見える。

稜君の指がわたしの涙をすくってくれて、それから両手でほっぺを包んでくれる。

「ぶさいく」

「ひどい!」

「冗談だよ」


ゆっくり近づいて、唇が重なった。


「雛」


わたしを呼ぶ、稜君の声はとても優しい。

「稜君、わたし稜君が好き」

「俺も、好きだ」


お互いの気持ちを確かめる前はあんなに言葉にすることが出来なかったのに。
今では一番に伝えたいって思う。

教えたいって思う。


誰が一番好きで、誰が一番大切なのか。



稜君、これからもずっとずっと一緒にいようね。