周りにもちらほらカップルらしい人たちがいて、
わたし達と同じように海を見ながら何か楽しそうに話をしている。
わたし達も、カップルに見えるかな?
「雛」
名前を呼ばれて視線を本宮君に移す。
オレンジ色に染まる、本宮君の顔にさらに心臓がどきどきしている。
そっと手がわたしの頬に触れて、顔がゆっくり近づく。
キス、するんだ..
瞳を閉じると、本宮君の唇が重なる。
まわりに人がいるからか、軽く唇が重なる程度だったけれど。
それでも今のわたしには十分すぎるくらいのドキドキだ。
「本宮君..」
「名前で呼んで」
「稜..君?」
「何で疑問形?」
「だって」
名前で呼んだのなんて初めてだし..
緊張する...
「これ、いつ渡そうかと思ったんだけど」
本宮君がそっとポケットから出してきたのは、
赤いリボンがかかっている、小さな白い箱。


