何で普通に平気であんなことを言うんだろう?
走ってるせいなのか、それとも航ちゃんの言葉のせいか
余計に心臓がドキドキしちゃう。
「雛、どうした?」
「あ、ごめんごめん!走ってきたから!ちょっと待ってて」
「?」
すーはー、大きくひとつ深呼吸。
よし、これで大丈夫。
「お待たせ、行こう」
本宮君の腕を引っ張ったわたしの手を本宮君の手が重なる。
「行こうか」
「うん」
付き合ってまだ少ししか経ってないから
未だに真剣に本宮君を見る事が出来なくて。
目が合わないように、ちらちらとこっそり見てしまう。
たとえば電車に乗ってる時。
外の景色を見ている本宮君の顔を見たり、
少し先を歩く本宮君の後ろ姿を見たり。
映画館で真剣に見入っている本宮君を見たり。
どの姿を見ても、表情を見てもドキドキする。
そして心が満たされていくんだ。
本宮君でいっぱいになる。
「映画楽しかったな」
「うん!宇宙人のサムと侑子がくっついてくれて良かったよ~」


