小さく笑ってリビングに戻る航ちゃん。
いつもなら、小さなげんこつがふってくるのに。
航ちゃん、本当にわたしと距離をとろうとしてくれてるんだね
「雛、お前約束何時?」
「えっと..11時だけど」
「あと20分で11時だけど大丈夫か?」
「うわ!大変!」
遅刻だーーーー
航ちゃんと話してると本当にこうやっていつも時間があっという間に
過ぎるんだから
「いってきまーす!」
「雛、分かってると思うけど」
「はいはい!ちゃんと帰りますよ!」
こういうところは全く変わってない。
わたしを子供扱いするんだから
でもこんなところで喧嘩してる場合じゃないっ!
とにかく駅まで急がないと
「雛っ!」
ドアを閉めようとしたわたしに、航ちゃんは大きな声でわたしの名前を呼んだ。
「どうしたの?」
「今日の恰好、可愛いぞ」
...航ちゃんのバカ


