「いつかは溢れてでてしまうんだよ」
そう切なげに寂しげに言う、智恵美。
智恵美はそういう恋をしたことがあるんだろうか?
言葉にして聞いてみたいけれど、何だかまだいけないような気がして
わたしはその質問をする事が出来なかった。
智恵美はわたしよりもたくさんの事を知っていて。
同じ歳なのに、恋をする時の苦しさ、楽しさ、辛さも分かっていて。
きっとまだわたしに言えないような気持ちもあるんだろうなぁと思う。
でもそれをすぐに相談しなくてもいいと思った。
いつか話してくれる、そう思ったから。
「それじゃあね」
「うん、冬休みも遊ぼうね」
「もちろんだよ~!じゃあね」
「また!」
智恵美と別れてひとり歩く。今日は雪は降らないって天気予報で言っていたのに、
はらはらと粉雪が降り始め、地面を濡らしていく。
今年もあと少し。
わたしの気持ちは、はっきりしている。
早く、本宮君に会いたいな


