「そりゃあ、ショックにもなるよ」
終業式が終わった帰り路。
本宮君は友達と用事があるみたいで、先に帰ってしまった。
明日のクリスマスデートの約束もしてあるし、帰ったら
メールすると言ってくれた。
そして今朝の、本宮君にはなんとなく言えない話を智恵美にしてみる。
何故か素直に喜べない事も
「雛の好きの種類がどうか分からないけど。“お兄さん”的存在だったんだもん。
悲しくもなるって」
「そうだよね」
あの時、どんな顔をして航ちゃんに笑顔を向けたのかも覚えてない。
「雛、何回も訊いてるかもしれないけど。本当にいいの?」
そんな質問、今更されてもわたしの答えは決まってる。
「本宮君はわたしをすごく大事にしてくれるんだ」
「雛、無理してないよね」
「してないよ」
手を繋ぐ時、必ず一度軽くわたしの手に触れてからゆっくり繋いでくれる所も。
キスをする時、わたしの頬に必ず手を添えてゆっくり唇を重ねてくれる所も。
航ちゃんに強引にされたキスとは違う。
「一つ教えてあげる。気持ちはね、我慢なんて出来ないんだよ」
「分ってる、大丈夫だよ」


