だって航ちゃんには、千鶴さんがいるじゃない
「雛...」
涙が自然と溢れてこぼれる。
「悪い、俺..」
だってそうじゃない?こんなことしておいて今更だよ全部全部。
航ちゃんはもうすぐ結婚する。
わたしの大好きな、千鶴さんと。
「ごめん航ちゃん」
航ちゃんは今度こそわたしを放してくれて、わたしは急いで自室に向かった。
ドアを閉めて、閉めたと同時にどうしても立っているのも辛くて
その場にしゃがみ込む。
航ちゃん、馬鹿だよ
こんなの、だめに決まっているのにどうして?
どうしてこんな風にめちゃくちゃにしてしまうの?


