「わ、わたし寝るね」
立ち上がろうとすると航ちゃんがわたしの腕を掴んだ
その反動で床に倒れてしまう。そしてその上に感じたのは、航ちゃんの匂いと
体温。
こんなに近くにいるまで知らなかった。航ちゃんの体のたくましさも
胸で感じる体温も...
覆いかぶさっている航ちゃんは何も言わない
わたしも、何も言えない
近づく顔が、これから何をしようとしているのか教えてくれる。
わたしは本宮君が好き
本宮くんが好きなのに、そのはずなのに...
「雛、行くな」
どうして?どうしてそんな言葉が出てくるの?
千鶴さんがいるくせに、どうして?
「航ちゃ...」
唇がもうすぐ重なろうとしたその時だった


