航ちゃんの傍にはビールの缶が置いてあった。
「お、おかえり、飲んでたんだね」
「おう、ちょっと会社で飲み会があってな」
「そう、なんだ」
視線を落とす。航ちゃんがいるのは分かってたけれど、いざとなると
何だか緊張してしまう。
こんなこと、同居してから一度もなかったのに
「じゃ、じゃあおやすみ」
話題に困ったわたしは自室に行こうとすると、航ちゃんがいきなりわたしの
腕を引っ張った。
「ちょ、航ちゃん!?」
「いいから隣に座れよ」
「え、でも?」
「いいから」
強い力で引っ張るもんだから仕方なく隣に座る。
話題話題...あ、そうだ
「ち、千鶴さんさっきまで来てたよ」
「あ、しまった!今日約束してたんだ!」


