「どうしたの?今度は」


いつの間にかお昼休みでみんながお弁当を広げている。


わたしどれだけぼーっとしていたんだろう?


「雛?」


もう一度名前を呼ばれて智恵美の方に向くと、心配そうな顔で
わたしを見ている。



「うん、実はね。航ちゃん結婚するんだって」


本当は幻なんじゃないかと思った。


夢なんだってそう思いたかった。


だけど、今朝。


航ちゃんははっきりとわたしに教えてくれた。


千鶴さんにプロポーズされたこと。そしてOKをもらったこと。

これから両家の挨拶や、式の準備でバタバタするから相手をしてくれなくなること。




分かった、おめでとう、ちゃんと覚えてるよ~良かったじゃん!ずっと
結婚したいって言ってたもんね~とか


そうやって、いつも通りに装うので必死だった。


「ねぇ智恵美」

「うん?」

「わたしのこの気持ちはさ、お兄ちゃんを取られるっていう気持ちからくるものだよね?」

「雛...」