掴まれていた手がぱっと離れて
わたしは再び台所に向かった。



危ない危ない



わたし今、航ちゃんの事変に思わなかった?



いやいや違う違う


絶対にそれはない


わたしが航ちゃんを意識してるなんて...



大体航ちゃんには千鶴さんがいるんだし。



「雛、日曜日暇?」


「え?どうしたの、突然」


「いや、ちょっと欲しい本があるし、買い物がてら
ショッピングモールの方に行かないかなって」


「ごめん、航ちゃん。わたしその日はちょっと用事があるんだ」


「用事って?雛にでもあるのか、大事な用事」