学校祭が終わって、不思議に思いながらも家に帰ると
航ちゃんはいつもの航ちゃんに戻ってた。


「そういえば、千鶴さんは?」


「何か急に仕事が出来たみたいで帰ったんだ」


「そっか」



お詫びに、と思って買ってきたケーキをお皿にのせる。


航ちゃんは紅茶を用意している最中だ。



「それにしても、今日は本当に来てくれて助かったよ」


「うん、俺もすごく緊張したけど楽しかった」



本当?


本当に楽しかったの?



帰り際の航ちゃんの見たことのない表情が忘れられない。



「雛?どうした?」


「あ、ううん何でもない」