なんてこった



航ちゃんってば!あれだけちゃんとお兄さんとして欲しいって言ったのに。


でも司会者の男子はふむふむと何度も頷いてしまいには“お兄さんがわり”という
航ちゃんの存在を認めてしまった。


「三橋航也さん!あなたは立派なお兄さんです!」


「...ありがとうございます」


それからわたし達の事を細かく聞かれてやっと出番が終わった。


ステージに降りる時にちょうど本宮君と会った。


「お疲れ、倉田」


「うん、お疲れ様。あれ?お姉さんは?」


「あぁ、仕事がまだあるとかで、もう行ったよ」


「そうなんだ、ちゃんとご挨拶したかったな」


「また会える」


「うん、ありがとう」


「雛、俺も帰るぞ」


そう言ってわたしの先を歩きだした。


「三橋さんも、倉田のお兄さんお疲れさまでした」


本宮君の言葉に、航ちゃん足が止まった。


「俺は雛のおにいちゃんじゃない」