「いい航ちゃん?航ちゃんはわたしのお兄さんっていう設定だからね」
お兄ちゃん、なんて改めて言うとちょっと恥ずかしいけど。
でもわたしにとってお兄ちゃんがわりだったのにかわりはないし。
航ちゃんは何だか固まったままで答えない。
「航ちゃん?」
もう一度名前を呼ぶと、航ちゃんはあぁと小さく返事をした。
「何、まだ緊張してるの?」
「あ、いや別に」
そう言うわりには何だかおかしいんだよね。
ついさっきまではいけるかなっとか思ったけど。
どんどん終わって、次は航ちゃんとわたしの番だ。
「それでは倉田家!お願いしまぁ~す」
わたしと航ちゃんはゆっくりステージの上に上がった。


