「帰ろう、な?」

「…ッ。光一人で帰ればいいじゃんっ!!

あたしは、ここから離れないもんっ!!」


あたしは、いつも光が座っているベンチに座った。

光は「はぁ」と溜め息をついて、苦笑いした。


「…なによ」


光は「どっこらしょ」と言いながら、あたしの隣に座った。


「…ここ、俺の特等席なんだけどなぁ」

「知らない」

「ふっ」

光はそっと、あたしに手を伸ばす。

だけど…


触れそうで、触れない距離で、光は手を引いた。


なんで…??


少しは…触れてくれてもいいじゃん。