入江悠司さんとは別れ、あたしはまた一人で夜の街を歩く。

ある店に、『クリスマスまであと5日』と大きく書かれていた。


あ…クリスマスプレゼント…。


頭で買わなきゃ、って思ってるのに…買う気分になれない。


歩いていると、ベンチに…光が座っていた。

昼間は…見つけられなかったのに。




「…光」

「お、莉緒じゃん」


『また会ったな!』と無邪気に笑った。

あぁ…


この笑顔、失いたくないな。



「ほんとだねっ」


だから、

あの事は…聞かないよ。