入江悠司さんは、そう言ってどこかに行ってしまった。
「ちょ、ちょっとちょっと!!
莉緒あの人と知り合いなのっ?!」
麻里があたしの肩を掴んで、必死に聞いてくる。
でも…
知り合い…??
あたしは、あの人を知らない。
だけど…
あの人は、あたしを知っている。
「…わかんない」
「はぁっ?!」
もぅ、いろんなことが一気に頭にありすぎて。
「麻里…あたし、早退するね」
「は?!」
「…会いたい人がいるんだ」
今…
会っておきたい人がいる。
あたしは、その日…学校を早退した。
そして、
まだ明るい街へと走った。

