「あー、あぁ。これか。梨恋からカズハに、プレゼントがあってさ」

「わしにか?」


さっきとは打って変わって嬉しそうに笑うカズハに、俺は手紙を渡した。


便箋とお揃いの桜の模様が、小さく踊るピンク色の封筒。

それはあまりにもシンプルで、梨恋が選ぶには大人っぽすぎる気もした。


でもこの、月と星の明かりしかない桜には、とてもよく似合う。


封をしてない長方形の封筒からそっと手紙を取り出したカズハは

2つ折りの便箋を見た。



だんだんと、笑顔だったカズハの表情が、曇っていく。


「キョー。……これは駄目じゃ……」


そう言いながら、カズハが俺を見上げる。


水分のたまった瞳を見て思わず目を見開いた俺から視線をそらすと
カズハが静かに口を開いた。