「さっきも言ったが、必ずしもわしの姿がリコに見えるとは言い切れぬ。何しろ、試したことがないからのう。

じゃが、他でもない、キョーの頼みじゃ。協力してやる!」


「本当か?良いんだな?」


カズハなら絶対に協力してくれるとは思ってた。

でも、少し不安を抱いてたのも事実だ。


だから、俺の心は一気に明るくなった気がした。


「あぁ。本当じゃ」


カズハは、今まで以上に明るく笑った。


丁度、カズハの周りを取り巻くように桜の隙間から差し込んだ太陽の光が
カズハの笑顔をより魅力的に見せる。


「ところで、リコはいつここへ来るんじゃ?」

「そうだな……。できるだけ早くしてやりたいから……明日のこれくらいの時間でどうだ?」

「わかった。では、明日待っておる!もちろん、キョーも一緒にくるのじゃぞ!」

「あぁ。わかってるよ」


俺がそう言うと、カズハは前を向き直し、ぐっと両手を上に伸ばした。

それと同時に、ぎゅっと目を瞑る。


満足そうに目を開いて、腕を下ろしたカズハは、もう1度町の様子を見下ろした。


風に揺れるピンクが、どこか清々しい。


ここには、今までに1度も体験したことのなかった高い世界と、眩しい風景がある。


俺はふと、光景を目に焼き付けようと思った。