春、恋。夢桜。

「キョー、お主、今日は本当によくぼーっとしておるのう。何かあったのか?」

「えっ?」

「キョーが静かに黙っておるなど気持ちが悪くて仕方がない。いつもみたいにわめいてみせい!」

「わめくって、お前……」


俺は、はぁっと一息吐いてからカズハに聞いた。


「カズハ、お前は前に言ったよな?花の精は誰か1人の人間としか深く関われない……って」

「あぁ。そうらしいのう」


今更何を言い出すんだ、とでも言うみたいに
カズハが怪訝そうな顔をする。


「だったら、深く関わらなくても良い。

その代わりに、一度だけ、他の人間と少し会話をしてやる……みたいなことも、できないのか?」