春、恋。夢桜。

「その代わりに、俺はいつでも梨恋の味方だからさ。父さんと母さんに隠したいなら協力してやる。

辛いことがあれば、何でも話を聞いてやる」


まだ泣きつづける梨恋に、そっと微笑む。


「そいつらの前では言えない文句も、辛さも、苦しさも全部、俺が聞いてやるから。梨恋は一人じゃないから。絶対に。だから……」

「響兄。梨恋、わかってるよ。わかってるから、……今日は、甘えても良い?」


梨恋は、今までの話題からは考えられないくらいの明るい笑顔を見せた。

それが空元気だということは、誰が見ても明らか。


それでも、こんな辛い選択へしか導いてやれない俺に
梨恋は精一杯の決意を見せてくれた。


こんなにも無力な俺を、頼るって言ってくれた。


そんな梨恋のために、今、そしてこれから、俺は何をしてやれるんだろう。

できることがあるのなら、何だって協力する。


絶対に……。