春、恋。夢桜。



何もわかってない小学生の、可愛いイタズラだなんて片付けることはできない。


何もわかっていない小学生だからこそ

残酷で、手の施しようがないんだ。


「梨恋、よく我慢したな。でも、残念だけど、俺には何もできない」

「うん。それは梨恋もわかってる。ずっと見てきたから……」

「いやがらせっていうのは、次の標的が見つかれば必ず終わる。それまでは、俺が思う一番の対策は、無反応でいることだ」

「無反応……?それって、梨恋が弱虫だから?」


「梨恋が弱いから無反応でいるんじゃない。

いやがらせをすることでしか自分の地位を気付けないような……そんな弱い奴等よりもはるかに強いから、反応しないんだよ」


俺は、一気に、且つ、ゆっくりと話した。


梨恋が俺の言うことに、必ずしも納得してくれるとは思わない。


むしろ、全国的に見ても、俺の言うことに反対する人間が多いと思う。


それでも俺は、とにかく言葉を続けた。