「潤。お前、ちょっと来い。話がある」


次の日の朝。

教室に入ってすぐ、俺は潤に声を掛けた。


「ここじゃちょっと微妙だから……。屋上行くぞ!」


それは、潤に呼び出された時と、台詞も場所も同じだった。

微妙な騒がしさの教室も、廊下も、いつもと変わらずここにある。


「響、お前、何かあったのかよ?いきなり呼び出すなんて……」

「俺をこうやっていきなり呼び出したのは、どこのどいつだよ」


「それに、今日は朝から普通に……ってか、いつもより口数が多い気がするんだけど。

お前から話し掛けてくることなんて普段はないだろ……」


不思議そうにぶつぶつと言う潤の声が、1番煩く聞こえるのは……

たぶん気のせいじゃない。


まぁ、心配掛けさせた分くらいは、我慢してやるか……――――



「お前、特別進学クラスのくせに馬鹿なんじゃないか?

こうやって人気のない所にイケメンを朝から呼び出した時にすることなんて、1つしかねぇだろうが」


笑いながら言うと、後ろから焦った潤の声が聞こえた。


「な、何だよ!それ……」