「しっかりと『桜を切る』という言葉を聞いたわけではないんじゃ。
ただ、漠然とじゃが、月美丘へ来ていた奴等の会話から……何となくじゃが、桜はなくなるんじゃと思った」
麗華は、ゆっくりと顔を上げた。
立って会話をしてるからか
麗華の雰囲気がいつもと少し違うような気がする。
「じゃから、確実な事実も知らぬまま、響に言うことはできんかったんじゃ。
いらぬ心配をかけたくもなかったしな……」
「そうか……」
俺は、麗華からそっと視線を逸らした。
「じゃがな、不安じゃった。もしかしたら、もう二度と桜に登れぬのかとか、もう二度と梨恋とは手紙のやりとりができぬのかとか……。
もう二度と、響に会えぬのか……とかな」
麗華の口から、軽く息が漏れた。
「何でじゃろうな。誰とも関わらんかった頃は、きっと桜が切られるようなことになっても、ここまで不安にはならんかったと思う。
『桜が綺麗に咲いて良かった』、『ちゃんと役目を果たせて良かった』と……そう思うだけで、すぐにこの世界を離れることができたんじゃと思う」
麗華の淋しそうな声に、思わず顔を麗華に向けた。
その表情には、苦笑いが浮かぶ。
「じゃがな、駄目じゃった……」
ただ、漠然とじゃが、月美丘へ来ていた奴等の会話から……何となくじゃが、桜はなくなるんじゃと思った」
麗華は、ゆっくりと顔を上げた。
立って会話をしてるからか
麗華の雰囲気がいつもと少し違うような気がする。
「じゃから、確実な事実も知らぬまま、響に言うことはできんかったんじゃ。
いらぬ心配をかけたくもなかったしな……」
「そうか……」
俺は、麗華からそっと視線を逸らした。
「じゃがな、不安じゃった。もしかしたら、もう二度と桜に登れぬのかとか、もう二度と梨恋とは手紙のやりとりができぬのかとか……。
もう二度と、響に会えぬのか……とかな」
麗華の口から、軽く息が漏れた。
「何でじゃろうな。誰とも関わらんかった頃は、きっと桜が切られるようなことになっても、ここまで不安にはならんかったと思う。
『桜が綺麗に咲いて良かった』、『ちゃんと役目を果たせて良かった』と……そう思うだけで、すぐにこの世界を離れることができたんじゃと思う」
麗華の淋しそうな声に、思わず顔を麗華に向けた。
その表情には、苦笑いが浮かぶ。
「じゃがな、駄目じゃった……」


