「紅姫様……。お主、頭でも打ったのではあるまいか?」

「はい?そんなことはありませんよ?
あたくしは、あなたのためにできることがあるならば、何でもやります」

「いや、じゃがな……」

「あたくしは紅姫ですもの。可愛い花の精の幸せのためならば、努力をすることなど惜しみませんよ」


紅姫様の言葉は、驚く程軽かった。

そして、その表情は驚く程楽しそうじゃった。


「あたくしにとって、幸せのための努力は、最優先すべきことであり、楽しみでもあるのです。

例え、困難であっても。他人のためであっても……ね」


そう言うと、紅姫様は首を少し傾けながら、にっこりと笑った。


どうして、こんなにも綺麗に笑えるのじゃろうか……?



わしは、また何かを考え始めた紅姫様を見つめながら

そんなことを思った。