「だったら、俺となら、これからもこうして話すこともできるってことか?」


カズハに倣って、俺も月を見上げた。


「そうじゃ。キョーとだけなら接触できる」

「満月の夜じゃない日でも?」


「そうじゃなぁ……。わしはこの桜の木から半径3メートル分しか動けぬから……

キョーが来てくれれば、満月でなくとも、朝でも昼でも、会うことができるぞ!」


そう言うと、カズハはすっと立ち上がった。

下から見上げる俺には、カズハの顔がよく見えない。


心なしか笑ってるようには見えるけど……

どうだろう?


「今日はもう遅い。キョー、家に帰ったらどうじゃ?お主には家族もおるのじゃろう?」

「あぁ。そうだな」