「うわぁああ!潤ちゃん、すごーい!これね、なかなかできないんだよ!」

「まぁな!この手のやつは俺に任せとけ!」

「うん!でも、響兄の方が教えるの上手……」

「いや、梨恋ちゃん……それはひどくない?」


リビングのドアを開けると、何とも謎だらけな会話が繰り広げられていた。



声と自転車からして、俺に背を向けるのは戸崎。


そして、戸崎に向かい合う形で座るのは梨恋だ。


「あ、響兄!お帰りなさいっ!」


戸崎の後ろに俺を見つけた梨恋が、嬉しそうに笑った。


「おぉ、響!お前、いきなり教室を飛び出すから……。
ほら、鞄。忘れてたから届けてやったぞ!」