その言葉が
予想以上に、切なく心に響いた。
「……」
まだ、同じようなことを思っている辺り
あたしたちは
近い存在だったんだな、と思う。
「もう、あたしじゃ久我を理解してあげられなくなるから、ナニか出来ればと思っただけだよ」
「……っ」
久我は、自分の髪を
ワシャワシャ
と、かき回して静かに笑う。
「伊織、実は俺のこと好きでしょ?」
「久我と同じくらいにはね?」
こんなやりとりも
もうこれで最後だろうな
あたしは
ニッ、と笑って久我の目を見る。
「……俺にも、生方みたいに凄いの、現れるかな?」
めずらしく
情けない顔で久我が言うから
「モテモテの久我にしては、弱気な発言ですね?」
面白いから、
ヘンな言霊的な
呪いでもかけてやろうかしら
「そうね、予言してあげる」
「はい?」
胡散臭そうに、久我はあたしを見た。
「久我には、とっても可愛いけどワガママで、久我を振り回すお姫様な子が現れるわよ?」
「うわっ、最悪な予言やめて」
「選びたい放題なのにザンネンね~」
久しぶりに、2人で
本当に、久しぶりに心置きなく笑った。
「じゃあ、聞いてくれてありがとう久我、またね」
「うん、じゃあまた、次の催事先か明の結婚式で」
最後だけど
終わりではない、から
またね、とハイタッチして
あたし達は、そのまま別れた。