あたしが違うんだと
わかった後の久我が
大変になるのが目に見えていたから
少しだけ、何か出来るように
動画の出所が知りたかった。
「……名前までは言わないけど、後輩の補佐ちゃんと先輩の補佐さま、あと何故か取引先の秘書の人」
怖っ、他社の秘書ってナニ?
予想のナナメ上を行く拡散具合に
背筋がゾッとした。
「中々な人間関係ね、名前は伏せてもらってた方が、今後幸せに生きられそうだわ、ありがとう」
「どういたしまして」
それにしても
こんな中途半端な感じのあたしで
よく今まで、久我のオンナ関係が
落ち着いていたな……。
嫌がらせさえされていなかった
5年間の奇跡に
肝を冷やしつつ感謝した。
「俺のことはいいから、伊織は自分のこと、ちゃんと考えろよ?」
「……う、ん」
生方に、返事をしなければ
ならないんだけれど
今の自分が、どうなってしまうのか
予想できなくて、怖い……。
「もう、俺じゃわかってあげられないからな」