こんな顔もするんだ?





 不思議な気持ちで

 見つめていると





「……っ」





 生方の顔が、どんどん赤くなって

 ギュッ、と目をつぶりながら

 左手で顔を隠す。





「い、伊織さん、……見すぎです」





 えっ?




「あれ? ……ご、ごめん」





 見つめられて

 追い詰められた気持ちだったのは

 気のせい、だったのかな?



 ホッ、と息をつくのもつかの間





「オレ、伊織さんが好きです」





 うっ!?



 油断したタイミングで

 告白される。



 不意打ち過ぎて

 顔が、どんどん熱くなってきた……。





「でも、何で好きになったかは言いません」





 さっきの

 あたしの言葉の返事

 横を向いたまま

 拗ねた口調で言われた。





「……」





 1つ、1つの会話の中で

 かわさずに答えてくれる



 ただ真っ直ぐに

 誠実に……。



 譲らない、と横を向く顔



 今まで、見ることの出来なかった

 彼に会えた気がした。




 うん





「……うん、わかった」





 ふと、片隅に浮かんだ馴染みの顔

 久我に会わないとな……。