「――…今日は、気がのらない?」





 久我の心地よいトーンが

 耳元で響く。





 えっ?





 我に返って彼を見上げると

 肩越しにホテルの天井が見えた。



 久しぶりに2人きりの出張

 よく来る得意先

 夜景がキレイでお気に入りの部屋。



 カーテンを全開にした窓から

 遠くの町の灯りが

 ちりばめた宝石のように美しい。





「……」





 自分が、うわの空だったことに驚いた。





 久我の頬を引き寄せて

 あたしは

 彼の唇をゆっくり味わう。





「うぅん、して?」





 彼の耳元で囁くと

 熱い吐息と共に首筋に甘い痛みが走る。





「……っ」





 声が出るギリギリのところで

 その唇をがあたしの唇を奪う。





 長いKISSの後





 ジラすように

 とけるように続く



 愛撫が…――





 狂いそうなくらいで……。





「……っ」