アタシの教育担当じゃなければ

 印南先輩も

 忙しい企画を抱えて

 遅くまで帰れない日々が続くんだろうな。





「なんか言われた?」



「えっ?」





 ラッシーを飲みながら

 枝野くんは

 アタシの思考を遮るように

 ツンツンと頭をつついた。





「……あぁ、はい、アタシってお手伝いさんみたいなお仕事だったから、あまり自分の仕事の必要性とか重要性って考えたことなくて、無自覚で」



「印南さんにでも怒られた?」





 枝野くんって

 頭がいいし察しもいいなぁ





「……怒られてはないですが、それに近いことは言われちゃいました」



「そっか、確かにいないと困るくらい、千川さんの仕事は大事だと思う、だから印南さんも時々厳しくなってしまうのかも知れないね?」



「……」





 きっと

 この前のどうしようもないアタシが

 印南先輩に怒られたからだと

 思ってくれているように優しくて



 励ましてくれているんだな

 と感じた。



 枝野くんは

 サッパリとして嫌みがなくて

 頼れるお兄さんみたいな人だ。





「ありがとうございます、元気出ました」





 またお話したいな

 と思いました。