「……」





 そんな優しさに

 触れたことのないアタシには

 まぶしくて



 先輩の差し出してくれた手を

 ついジィっと

 見つめてしまった。





「千川?」



「は、はい!」





 せ、先輩のご好意を

 無碍には出来ないし



 でも



 手をつなぐだなんて

 施設の小さい子以外で

 あんまりなかったから



 どぎまぎする。





「……」





 アタシの為に

 当たり前に

 差し出された手に触れてみる。



 ドキンッ



 思ってたより冷たくて

 サラッとした感触。



 その大きな手が

 アタシの手をすっぽりと包んで

 ゆっくりと引く





「……」





 さっきその腕で軽々と

 アタシを抱きかかえていたのを

 思い出す。





「行くぞ?」



「は、ぃ……」





 うわぁぁ



 体中が、熱くなった気がした。