先輩の腕につかまってしまった。





「……千川?」



「はい……」





 すみません、あんまり

 大丈夫じゃないかもです。



 でも



 痛かったのは

 ヒネッてすぐだったから



 もう少ししたら

 ちょっとはマシになるかな?





「……」





 試しに、何度か足踏みをしてみる。



 さっきよりは、痛くない。





「……なんとか、歩けそうです」



「……本当か?」



「はい」





 精一杯笑って顔を上げた。





「……」





 印南先輩は

 苦虫を噛み潰したような顔で

 こっちを見たかと思うと





「ほら、行くぞ?」





 と、提灯を持っていない手を

 差し出してくれた。



 えっ!?



 それは、まるで

 お付き合いしている

 彼の優しい仕草のようで……。