「燃費のわりに体力だけは、自信あったんですけど?」
「はぁ? 倒れてたら意味ないだろ?」
うっ、確かに……。
やや本気めに叱られてしまった。
「……すみません」
「……治ったら、昼に上手いレバニラ絶対食わせてやる」
「は、はぁ?」
先輩のスタミナ食なんでしょうか?
まだ食べられる気がしなかったけど
その気持ちが嬉しかったから……。
「ありがとう、ございます」
「おう、早く治せよ?」
「はい……」
何だかヘンな感じ……。
印南先輩は、やさしい
ぶっきらぼうで取っつきにくくて
怒ると怖いけど
温かい気持ちにさせてくれる人。
泣いてたのを
聞かないでくれた。
みかんの缶詰め
買ってきてくれた。
夢の中すがった手を
振り払わないでくれた。
知らないはずの大きな手
重なる記憶
本当にやさしくて、いい人だと思う。
いつか
アタシが1人前に
仕事も生活もこなせるようになれたら
きちんと恩返ししよう
と、心に誓った。