「よかった、よかった」
「オレらの亜美ちゃんが、チンピラなオッサンの毒牙にかかっちゃったかと思ってあせったわ」
あはは……
チンピラなオッサンって
ウチの先輩捕まえてヒドい言い方。
ちょっとは言い返しておかないと
印南先輩の威厳が
なくなってしまうかしら?
少しムッとした顔を見られたのか
枝野くんの手が
ポンポンと、アタシの背中を
軽く叩いてなだめてくれ
「……枝野、くん?」
「みんな一応、お前のこと心配して言ってくれた台詞だからな?」
うっ……
枝野くんにそう耳打ちされて
アタシは、落ち着くため
大きく深呼吸した。
「う、ん、でも印南先輩のこと、みんな誤解してるのが…――」
なんかくやしくて
「まぁ、コワオモテなのは仕方ないし、俺らが先輩のことちゃんと尊敬してれば、いつかみんなにも伝わるんじゃないか?」
「……」
さすが6コも年上なだけあるなぁ
考え方が大人。
同期とは言え
枝野くんも尊敬する人の1人です。
「うんありがとう、枝野くん」
おかげで同期のみなさんと
感じ悪い言い合いにならなくて
助かりました。