むしろ、嬉しかったくらいだ。





「……」





 この人と一緒にいれば

 きっともっと

 あたしの知らない不思議なこと

 いっぱい起きるのを体験するだろう。



 主任が言うように

 理解できなくて苦しむことも

 泣きたくなることもあるだろう



 彼を傷付けてしまうかも知れない

 逆にあたしが傷付くことも

 あるかも知れない。





 それでも



 あたしは

 目の前で震えながら返事を待つ彼に

 飛びついてしまいたいくらい

 愛しいと言う感情があふれて

 止まらなくて……





「……」





 例え、どんなコトがあっても

 彼を手に入れたいと

 思ってしまったんだ。





 あたしは

 震える主任の手を取って





「未熟者ですが、宜しくお願いします」





 と彼を見上げて言った。





「!!??」





 見開く瞳



 まるで奪うように手を引かれ

 胸の中にギュッと抱きしめられた。





 うわぁぁぁぁ





 ど、どうしよう

 ドキドキが痛いくらい高鳴ってる。





『好き』



 うん、大好き……。



 伝わる、想い。





 あたしは主任の背中に手を回し

 ギュウッ、としがみつくように

 彼を抱きしめた。





 ドキドキして

 嬉しくて



 その時の主任の心臓の音

 一生忘れないって胸に誓った。