「波那……」





 そっと

 倒れそうなアタシを

 郡司はソバに来て支えてくれた。





「……ぐ、んじ」





 アタシは

 このグチャグチャな想いを

 洗い流すように

 郡司にしがみついて泣いた。



 何もかも

 吐き出したいほど



 キモチワルくて

 苦しくて

 やるせなくて……。





 こんなの

 どうすればいいのかなんて

 わかんないよ……。










 泣いている間

 ずっと黙ったままの

 郡司が、ソバにいてくれた。





「……ごめんなさい、ずっと」





 間違えてた、コト

 今までのことイロイロ



 だけど

 上手く言葉にならない。





「それを言ったら、3人ともツライだけだから……」





 そう言って

 郡司は

 静かに笑ってくれた。



 深い海のような

 笑顔で……。





「……郡司は、もしかして知ってたの?」





 そんなに

 驚いていないのが

 気になった。





「……ん~、途中から? なんとなくヘンだなって、気付いたのは本当に最近、だから波那を企画補佐にした」



「……」



「俺も、最後のカケだったんだ、あんな風に騙されて、仲のいいお前ら見せられたのに、あきらめ切れなくて……」



「……」





 すり替えたのは聖人くん

 一度あきらめたのは郡司

 間違え続けたのはアタシ



 ダレの責任?

 ダレが悪い?



 違う

 そう言う問題じゃない。



 ただずっと



 大事なボタンを

 掛け違えていただけ……。





「……」





 そして



 自分の嘘に苦しんだ聖人くん

 あきらめないでくれた郡司

 今

 正解にたどりついたアタシ……。



 ずっとずっと

 迷子だったアタシの恋ゴコロ





 やっと

 元の場所に帰れたの、かな?